新譜レビュー/NOT WONK『dimen』

1月27日、NOT WONKの新譜が発表されました!

メロディックパンクの文脈からスタートしたバンドが、R&Bやソウルを消化して生んだ、革新的な新譜。

新譜をヘビロテしている3人が書いた、レビューをお届けします!

「遊んでる」アルバム

今までのアルバムの中で一番「遊んでる」のに、耳馴染みが良い。エレピ、サックス、パーカッションなど、初登場の楽器を使用し、じつに実験的。けれど、ガラッと変わる曲構成には、確実にNOT WONKぽさを残している。

アルバムを象徴するのは、1曲目、spirit in the sun 。手拍子に始まり、女性コーラスとエレピが絡まりながら進んでいく。新奇的だが、その心地よい爆音と美しい静寂の高低差は、前作の『Down the Valley』 を思わせる。

手拍子のリズムが印象的な曲。ライブでいかに演出されるのか、楽しみだ。(すーも)

全曲、違う顔を持ってる

初っ端ブッ飛ばされる。甘いサックスと抱きしめるような演奏も最高だし、1分40秒で切り込むギターフレーズにシビれる。続く展開もキュンキュンするし、ラストはスケールがデカすぎる。『スポーツ』期の東京事変の音を思い出すけど、感情が溢れて壊れそうになってるのはNOT WONKだな。

懐かしくエモなメロディを爆音と反復でこれでもかと食らわせてくるアルバムのピーク。ウィーザーのOnly In Dreams、スマパンのMayonaiseを聴いた時の感覚になる。

ひたすら優しい。4分からの展開は一生聴いてたい。エレピの〆で良いアルバムだ〜ってなります。(やまべ)

あったかい

言語化や理論化は、物事の単純化という意味で、逃げなのかもしれない。「複雑なものを複雑なものとして」考える方がきつい。「それそのまま」を直視する方がきつい。

『dimen』のアートワークは、「ないまぜになったものをないまぜのまま形に」したもの。「それそのまま」を直視したアルバム。

NOT WONK 「dimen」アートワークについて|shuhei kato
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偏見や差別で他人を傷つけることは、fuck off!!!! と嫌忌するのに、その嫌悪感と矛盾する、無意識にそして確実に誰かを加害している自分の存在に苦しむ人間、

加害者ー被害者の関係を生み続ける構造に「こそ」生かされている事実に苦しむ人間、

苦しんでいる人たちに「よっしゃ、一緒に苦しむか」と言ってくれるアルバム。あったかい。(こばやし)

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